新春特別公演「鈴木貞次郎 光の記憶」。
その中で披露された、若手振付家・鎮目更紗さんによる新作ダンス「春を待ち侘びる」を、撮影と観覧の両方の立場から拝見しました。
昨年の夏、大石田を訪れ、環境音を収録しながら、この公演に向けて構成を練ってきた更紗さん。
ところが、再び大石田を訪れた際に目にしたのは、夏とはまったく異なる冬の景色。
そこで得た新たなインスピレーションをもとに、約1週間ですべての構成を作り直したと伺いました。
光と音、そして身体。
それぞれが静かに重なり合いながら、ひとつの季節が終わり、また次の季節へと移ろっていく。
雪に覆われた大地の静けさから、少しずつ春へ向かっていくような時間の流れが、言葉ではなく身体によって丁寧に描かれていました。
過ぎゆく季節の儚さ。
そして、巡りゆく季節の尊さ。
その両方が、作品の中に確かに息づいていたように思います。
撮影をしながら、ふと「新芽が芽吹く瞬間を見ているようだ」と感じました。
静かな作品なのに、胸の奥には確かな熱が残る。
気がつけば目頭が熱くなり、自然と涙が溢れていました。
写真を撮るという立場で舞台を見ていると、どうしても「どう切り取るか」「何を写すか」ということに意識が向きます。
けれどこの作品では、シャッターを切ること以上に、
その場に流れる光や音、身体の呼吸を、自分自身の身体で感じていたいと思わせられました。
「春を待ち侘びる」というタイトルのように、
まだ見えない春をただ待つのではなく、
冬の只中にある時間そのものを慈しむ。
そんな作品だったように感じています。
大石田の土地と、そこで過ごした時間。
そして、そこから生まれた光と音と身体の表現。
新しい年の始まりに、こんなにも美しい「春の予感」に出会えたことを嬉しく思います。
素敵な作品を、ありがとうございました。
またこの場所で、季節の移ろいとともに生まれる表現に出会えることを楽しみにしています。
振付・出演
鎮目 更紗
@shizume_sarasa
出演
久保田 舞
@maimy_jalopy
椛島 一
@kabachikof
主催
大石田町教育委員会
制作
大石田AIR
@oishidaair
助成
(公財)山形県生涯学習文化財団